前段で「ネイティブ講師と一見スムーズに会話していても文法はかなり破格な帰国子女の方もいらっしゃれば、逆にスピーキングやリスニングはまだ不慣れでも、和訳や英作では講師を唸らせる立派な文章を発表する生徒さんもいらっしゃいます」とご紹介いたしました。この後者のタイプの方は、このまま練習を続けていけば、確実に話せるようになり聴けるようになってまいります。書ければ話せます(その逆は必ずしも真ではありません)。話せないのは書けないからです。

「書けない」ということの意味は、話したいことを「文章化できない、文章として書けない」ということです。話せるようになるために、いくら会話の練習をし、またネイティブの英語に触れても、文章化の能力を鍛えることにはなっておりませんので(ただの単語の羅列)、話せるようになるのは困難です。そしてこの「文章を書く」ということは、「語句を規則に従って配置する」ことですので、「文法」が必要不可欠となります。また中身の伴った「話したいこと」が芽生えるもとは「教養」でございます。

さて、当塾では、英文を書く訓練については、高2までは「次の日本文を英語で書きなさい」式のいわゆる和文英訳が中心です。英語の偏差値が70を越える生徒さんでも3単現のsを付け忘れたり、複数名詞をitで指したりいたしますので、英語の実力は英作文で如実に現われますと同時に、初歩的つまり重大な弱点が見つかる機会ともなります。

この和文英訳で見られる種々の誤りは主に、「与えられた日本語をそのまますべて英語に移し替えようとする」ことから生じます。日本語と英語とでは表現形式が異なりますので、どんなに文法的に誤りが無くても、ネイティブが日常生活で使わない表現であれば正しいとはいえません。和英辞典を頼り単語を文法どおりにつなぎ合わせても、自然な表現は生まれません。

 そこでおこなうのが「和文和訳」です。つまり、そのままでは英訳しにくい日本語を英訳し易い日本語に言い換えることです(paraphrase)。この「和文和訳」ではすぐれて日本語力が問われます。日本語は英語と比べて情緒的で余分な言葉が多く、また文脈全体で意味を伝えようとするが、英語は1文1文の意味が明確でなければならない、といったことも英作では大切な予備知識となります。

例) 「最近の学生は意思決定力が弱くなった」→「最近の学生は優柔不断になった」
Students today have become indecisive.

高校3年生になると、大学入試に備えて少し長めの英文を書く訓練もします。パラグラフ・ライティング(50〜100語くらい)とエッセイ・ライティング(100〜300語くらい)がそれです。これらは日本語の段落や随筆とは異なり、一定の形式に厳格に従った、論理的に構築された英文を書くことを求めています(「主張→理由→結論」や「序論→本論→結論」)。

例) Should we experiment on animals in order to develop products such as medicines that human beings find beneficial?  Write a paragraph explaining your opinion. (早稲田大)

こうした問題形式の意図するところは、基礎的な英語力とならんで、広く国際社会で要求される自己表現力や論理的思考力をはかることでございます。当塾では、ネイティブ講師と日本人講師が協力して問題演習を行い、添削と書き直しを繰り返してまいります。

もっとも、これらの問題が採点される際は、まずは基本的な文法や語彙の力があるかどうかがチェックされますので、まずは和文英訳式の短い英文をきっちり正しく書けること、つまり文法力や語彙力に裏打ちされた英作力を養っておくことが必要でございます。そして、ある程度の長さの英文を書く大前提として、日本、環境、科学、政治・経済、医療、比較文化、教育などのテーマについて日頃から思考し、自分の意見をまとめておくことが欠かせません。